「この物件なら、〇〇万円で売れますよ」
そう言われた瞬間、胸の奥が少し軽くなる。
やっと安心できる、これで一段落だ――そんな感情が自然と湧いてくるのは、決してあなただけではありません。
不動産売却は、多くの人にとって人生で数回あるかどうかの大きな決断。
しかも、住み替え・相続・資金繰りなど、時間的・精神的に余裕がない状況で進めるケースも少なくありません。
だからこそ、「高く売れる」という言葉は、想像以上に魅力的に響きます。
ですが、ここで一度立ち止まって考えてみてください。
その査定額、本当に“あなたの物件が市場で売れる現実的な価格”でしょうか。
実は不動産売却の現場では、
「最初は高く見せて契約を取り、あとから価格を下げる」
そんな構図が珍しくありません。
売主が悪いわけでも、知識が足りないわけでもない。
ただ、仕組みを知らないまま進めてしまうと、時間もチャンスも失う可能性があるのです。
ぼく自身も、営業マンの言葉をそのまま信じそうになった経験があります。
しかし、少しだけ自分で調べ、冷静に数字を見たことで、
「危うく遠回りするところだった」と気づきました。
この記事では、
営業マンの甘い査定額に振り回されず、不動産を“適正価格”で、納得して売却するための考え方と具体的な判断軸を、実体験を交えながらお伝えします。
不動産売却で後悔しないために最も重要なのは、
「査定額の高さ」ではなく、「根拠を理解したうえで自分で判断すること」です。

営業マンが「高い査定額」を出してくる本当の理由
不動産売却で最初に直面するのが、査定額の差です。
同じ物件なのに、会社によって数百万円違うことも珍しくありません。
不動産営業の仕事は「売ること」ではなく「契約を取ること」
誤解されがちですが、営業マンの第一目標は
**「高く売ること」ではなく「媒介契約を結ぶこと」**です。
契約がなければ、どれだけ動いても報酬はゼロ。
だからこそ、他社より魅力的に見える数字を提示し、
「この会社に任せたい」と思わせる必要があります。
高額査定は“期待値”であって“売れる価格”ではない
査定額とは、あくまで営業マンの見立て。
市場でその価格で売れる保証はどこにもありません。
それでも高い数字を見せるのは、
売主の期待を一度つかむため。
この時点では、現実的に売れるかどうかは二の次になりがちです。
契約後に始まる「価格を下げましょう」の流れ
よくあるパターンがこれです。
「反響が少ないですね」
「今の市況だと、この価格は厳しいかもしれません」
「少し下げて様子を見ましょう」
最初に高い査定額を提示していたにも関わらず、
数週間〜数か月後には値下げの話が始まる。
これは珍しい話ではなく、業界ではごく普通の流れです。
なぜ多くの売主がこの流れに巻き込まれてしまうのか
「騙された」という話ではありません。
むしろ、誰でも陥りやすい構造的な理由があります。
「早く売りたい」「高く売りたい」という感情
不動産売却の背景には、必ず事情があります。
・住み替えの期限
・相続の整理
・資金計画の都合
こうした状況では、
冷静な判断よりも感情が先に動くのは自然なことです。
専門家の言葉は、どうしても信じてしまう
不動産は専門性が高く、
「自分では判断できない」と感じやすい分野です。
だからこそ、
「プロが言うなら間違いないだろう」
そう思ってしまう。
この“思考停止”が、一番の落とし穴になります。
売主側が「相場」を知らないまま進んでしまう
実はこれが最大の原因です。
相場を知らなければ、
提示された査定額が
「高いのか」「妥当なのか」「非現実的なのか」
判断できません。
結果として、営業マンのペースで話が進みます。
実体験からわかった「危険な査定」と「妥当な査定」の見分け方
ぼく自身も、最初は高額な査定に心が動きました。
ですが、少し調べてみると、違和感が出てきました。
近隣の売出し価格と比べてみる
まずやったのが、ポータルサイトのチェックです。
SUUMOやHOME’Sで、
・同じエリア
・似た築年数
・近い広さ
の物件を見てみました。
すると、自分の物件だけが
明らかに相場から浮いていることに気づきます。
これは、
スーパーで普段300円の卵が
500円で並んでいたときの感覚に近い。
「高級品なら納得するけど、理由がなければおかしい」
その感覚は、だいたい正しいです。
成約価格を見て「現実」を知る
次に確認したのが、過去の成約事例です。
売出し価格ではなく、
実際に売れた価格を見ることで、
相場の“現実ライン”がはっきりします。
過去に売れた価格は、
感情や期待ではなく、
市場が出した答えです。
データをもとに営業マンと話してみた結果
そのデータをもとに相談すると、
営業マンのトーンが変わりました。
最終的に、
・無理のない価格
・反響が見込める価格
で売り出すことに。
結果、
値下げを繰り返すことなく、早期に成約しました。
誰でもできる「不動産相場」の調べ方
専門知識がなくても、
最低限これだけやれば十分です。
成約価格を確認できるサイトを使う
売却判断で最も重要なのは、
「実際にいくらで売れているか」。
成約事例を見ることで、
机上の査定から一気に現実に引き戻されます。
売出し中物件は「参考程度」に見る
ポータルサイトの価格は、
あくまで売主の希望価格。
そのまま信じるのではなく、
「この価格で売れていない理由は?」
と一段引いて見るのがコツです。
土地の価値が重要なエリアは別視点も必要
建物より土地が重視されるエリアでは、
土地価格の目安もチェックすると、
査定の妥当性が見えてきます。
営業マンと上手に付き合うための考え方
営業マンは敵ではありません。
ただし、主導権は必ず売主側が持つべきです。
営業マンの意見は「参考情報のひとつ」
正解でも不正解でもありません。
数ある判断材料のひとつとして扱う。
料理のレシピと同じで、
そのまま作るか、アレンジするかは自分次第です。
査定は必ず複数社に依頼する
1社だけでは、相場は見えません。
3社以上を比べることで、
・高すぎる
・低すぎる
・妥当
この3つが自然と浮かび上がります。
最後に決めるのは「あなた自身」
誰かに任せることと、
丸投げすることは違います。
判断を他人に預けた瞬間、
後悔も自分に返ってきます。
Q&A|不動産売却で後悔しないために“必ず押さえる3つの核心”
ここまで読んで、「理屈はわかった。でも、現場はもっとややこしいんだよな…」と感じた人もいるはずです。
不動産売却は、感情・お金・時間が絡むので、最後は“よくある疑問”で判断がブレます。
そこで、検索でもよく調べられていて、しかも一歩深い——
この3つだけに絞って答えます。たぶん、ここが腑に落ちると売却が一気にラクになります。
まとめ|不動産売却で後悔しない人が、必ずやっていること
不動産売却で後悔する人に共通しているのは、
「判断を間違えたこと」ではありません。
判断を“他人に預けてしまったこと”です。
営業マンの言葉を信じたから失敗したのではない。
高い査定額を選んだからダメだったわけでもない。
本当の原因は、
「なぜその価格なのか」
「それは市場で通用するのか」
そこを自分で確認しないまま、話を進めてしまったことです。
不動産売却は、知識量で勝負するものではありません。
必要なのは、たったこれだけです。
- 相場を“なんとなく”ではなく“数字”で把握すること
- 査定額ではなく、その根拠を見ること
- 営業マンの意見を参考にしつつ、最終判断は自分で下すこと
この3つを押さえるだけで、
売却は驚くほどシンプルになります。
高く売ることよりも大切なのは、
納得して売ること。
そして、時間も気力もすり減らさず、
「あの判断でよかった」と思える着地をすることです。
不動産は、あなたがこれまで積み上げてきた大切な資産。
だからこそ、
誰かの都合ではなく、あなた自身の判断軸で手放してください。
この記事が、
営業マンの言葉に振り回されず、
冷静に、そして主体的に売却を進めるための
“ひとつの基準点”になれば幸いです。
焦らなくていい。
でも、任せきりにはしない。
それが、後悔しない不動産売却のいちばん確かな近道です。




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