仕事が早い人ほど仕事が増えるのは損?6対4が9対1になった現場の話

机の上に高さの違う書類の山が2つ。右側の山が明らかに高く積み上がり、そばにコーヒーカップとペンが置かれている

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あおい

早く終わらせるほど、次の仕事が来るんです。私だけ量が増えていきます。

ゆうき

隣の席は定時で帰ってますよ。頑張るだけ損じゃないですか。

りすけ先生

その感じ方は間違っていません。ただ、振る側に見えている景色は違います。管理職5年、私が何を考えて仕事を渡していたかを書きます。

仕事が早い人ほど仕事が増える。これは本当に起きます。

  • 難しい案件が、なぜか自分のところにばかり回ってくる
  • 1つ片づけると、待っていたように次が積まれる
  • 同僚は定時で帰り、自分だけ残っている
  • 「頑張れば損をする」と検索した夜がある

同じ給料で、量だけが増えていく。損をしている気がして当然です。

私は電気工事の現場に30年います。そのうち管理職が5年です。人に仕事を渡す側と、渡される側。私は両方を経験しました。この記事では、渡す側で何を考えていたかを書きます。

読み終わるころには、自分に難しい仕事が回ってくる理由が分かります。仕事を減らす方法は出てきません。そのかわり、いま起きていることをどう読めばいいかが分かります。

結論

難しい仕事が回ってくるのは、罰ではなく、成功する可能性が高いと見られているからです。ただし評価が追いつくまでには時間がかかります。いましんどいという感覚のほうは、正しいままです。

この記事でわかること
  • 仕事を振る側が、誰に何を頼むかを決めている基準
  • 分担が6対4から9対1になった部下と、そのあとの評価
  • 「限界です」と言われたとき、振る側が実際にやること
振る側は、ここを見ています
空いているか、ではありません
POINT 1
安心して任せられるか
成功する可能性が高い人に頼みたい
POINT 2
時間が読めるか
工程表が書けて、遅れを先に出せる
POINT 3
入口で返事が来るか
その日のうちに1手だけ返ってくる
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この記事を書いた人
あきき
あきき
現場歴30年 資格20以上
電気工事業の大型プロジェクトなどで数十人規模のチーム管理・工程管理を担当。1級電気工事施工管理技士・エネルギー管理士など資格20以上を保有し、現場で培った「本当に使えるノウハウ」だけを発信しています。
目次

仕事が早い人ほど仕事が増えるのは、損ではありません

「またこれ、自分ですか」。そう思う日があるなら、その感覚はそのままで合っています。早く終わらせた人のところに、次の仕事は集まります。同じ給料で、量だけが増える。

損だと感じて当たり前です。

そのうえで、振っていた側の答えを書きます。量が増えているのは、罰として渡されているからではありません。難しい案件を、成功する可能性が高い人に持っていってほしいからです。

振る側の本音は単純です。できる人に難しい仕事を頼みたい。理由は、そのほうが安心できるからです。工期どおりに終わる。まずい兆候が小さいうちに上がってくる。頼む側は、この安心を買っています。

それでも納得できないと思います。「あなたの安心のために、私が潰れるのか」と。だから先に書いておきます。この記事は我慢を勧める記事ではありません。限界だと感じたときに振る側が何をするかは、後半に書きました。

りすけ先生

いま損をしている感覚と、評価されているという事実。この2つは同時に成り立ちます。どちらかが嘘ではありません。

6対4が、9対1になった話

数字で残っている話をします。私の部下だった人の話です。

複数の現場を、2人で分けて持たせていました。最初の分担は6対4です。多いほうが、仕事の早い人でした。

しばらくして7対3になります。片方が持ちきれなかったからです。次に8対2。そして相方が異動しました。そのあとの分担は9対1です。

分担そのとき起きていたこと
6対42人で分けた最初の形。多いほうが早い人
7対3片方が持ちきれず、早い人へ寄る
8対2寄り方が固定される
9対1相方の異動後。ほぼ1人で回す形に

量が増えても、評価はすぐには動かなかった

正直に書きます。この人の評価は、長いあいだ低いままでした。分担が9対1になっても上がっていません。

見抜けていなかったのは、私を含めた管理する側です。いちばん量を持っていた時期に、いちばん評価が追いついていませんでした。美談にする気はありません。こちらの落ち度です。

そのあと環境が変わって、評価は爆上がりしました。何が変わったのかというと、本人の力ではありません。

しろくまがハワイに住んでいただけです。暑いところに置けば、動けない生き物に見えます。寒いところへ戻せば、もとから走れた。力は最初からありました。

あおい

じゃあ最初の低い評価は、何だったんですか。

りすけ先生

見る側の間違いです。そう言うしかありません。

量が偏るのは、振る側に見えているものがあるから

減っていったほうの人については、人物評を書きません。かわりに、管理する側に何が見えるかだけを書きます。

見えるのは「やったふり」です。すぐには分かりません。時間をかけて見ていると、報告と成果物が合わなくなります。よく言えば、人に振るのがうまい人です。悪く言えば、自分では手が動かない人です。

これが分かった瞬間から、その人には仕事を振れなくなります。振っても戻ってこないと分かっているからです。行き先は1つしかありません。手が動く人のところです。

これが、量が片側に寄る仕組みです。あなたのところに集まっているなら、あなたは戻ってくる側に数えられています。

振る側は何を考えているか|「早く終わったから」ではない

誤解を1つ解きます。私は「早く終わったから、次を渡そう」と考えたことがありません。

順番が逆です。難しい案件が出てきたとき、先に顔が浮かぶ人がいます。その人に頼みたい。だから空き状況を見るより前に、頼む相手が決まっています。

結論

振る基準は「手が空いているか」ではありません。「任せて安心か」です。だから、早く終わらせても終わらせなくても、難しい案件は同じ人に向かいます。

ここは隠さずに書きます。前の仕事が終わっていなくても頼みます。担当を組み替えてでも、その人にやってもらいます。

読んでいてつらい行だと思います。逃げ場がないように読めます。だから、さっきの続きを書きます。そうやって回されていた人の評価は、最後に爆上がりしました。

渡す側は、その人を消耗品として見ていません。むしろ逆です。落とせない仕事を預けています。誰でもいい仕事なら、誰にでも振ります。

ただし評価が追いつくのは、たいてい後になります。私の場合は遅すぎました。ここを「だから待て」とは言えません。

「安心」の中身は、工期と一報の2つ

安心という言葉があいまいなので、私が見ていた中身を書きます。2つです。

1つは、工期どおりに終わること。もう1つは、まずい兆候が小さいうちに上がってくることです。この2つがそろっている人は、こちらが手を出さなくていい。だから難しい案件を置けます。

逆から見ると分かりやすいはずです。期限が読めない相手には、こちらが何度も確認に行きます。報告が遅い相手には、問題が大きくなってから気づきます。振る側の手間で言えば、後者のほうがはるかに重い。

頼む相手が固定されるのは、この差です。速さそのものではありません。

私が30才前に抱えていたA4一枚

30才になる前、私はA4の紙を1枚持ち歩いていました。上から下までタスクで埋まっていました。

諸口工事という仕事です。小さな工事をいくつも受け持ちます。現場の場所はバラバラで、1日に何か所も回りました。日曜も出勤していました。この状態が2年続きます。

当時これを「経験の早回し」だと思ったことはありません。そう思えるようになったのは、ずっとあとです。あのころの私は、ただ量に押されていました。

1つだけ、救いがありました。裁量です。

どの現場を先に回るか、どこで区切るか。順番は自分で決められました。人に決められた記憶がありません。同じ量でも、順番まで人に決められる状態はきついです。私はそうではなかった。ここは正直に書いておきます。

ゆうき

いま自分がしんどいのは、量じゃなくて順番のほうかもしれません。

段取りがいいとは「時間が読める」こと

「段取りがいい」は、あいまいな褒め言葉です。中身を1つに絞ると、時間が読めることです。

工程表が書けると、遅れが先に見える

現場で言えば、工期を当てられることです。工程表が書けること。この2つができる人は、遅れる前に手を打てます。

書けないとどうなるか。当日になって「材料が足りない」。前日に「まだ注文していない」。この2つは、時間が読めていない現場で必ず出ます。

止まるのは自分の手だけではありません。次に入る職人も止まります。だから振る側は、工程表を書ける人に難しい案件を寄せます。速さより先に、読めることを見ています。

返事は、その日に1手だけ返す

もう1つ、私が最優先にしていることがあります。返事です。

とくに取っ掛かり。仕事の入口の返事は、何よりも先に返します。中身が固まっていなくてかまいません。「確かめます」「確認して連絡します」。この一言を、その日のうちに返します。

これだけで相手の段取りが動き出します。返事がないと、相手はそこで止まります。止まった時間は、あとで全部こちらに返ってきます。

空いた時間は、埋めるのではなく空けておく

早く終わらせて浮いた時間を、次の仕事で埋めない。これが私のやり方です。

空き時間は、奪われるものではありません。受け止めるための余白です。急な依頼が入ったら、そこで受けてすぐ対応する。終わったら、また元の仕事に戻ります。

余白がないと、割り込みが入るたびに全部が後ろへずれます。

余白でやるのは、振られた仕事ではない

ここで区別を1つ入れます。余白でやるのは、上から降ってくる仕事ではありません。重要だけれど急ぎではない仕事を、自分で探してやります。

選ぶ基準は1つです。1か月先、1年先の自分の時間が短くなるか。短くなるならやります。ならないなら手をつけません。

選ぶのは自分です。ここを人に決められたら、それは余白ではなく上乗せです。「空いた時間にもっと仕事を探せ」という話ではありません。

私の場合、返ってきたのはマクロだった

会社でAIが使えるようになりました。それから私は、自分の業務の半分以上をマクロで動かしています。勤務表の分析、メールの自動送信、データの分析。

ここは正直に書きます。短くなった時間は計っていません。何時間浮いたと言える数字を、私は持っていません。それでも、以前は手で触っていた作業に触らなくなりました。

管理職なので、作ったものは自分専用が多いです。全社が楽になったという話ではありません。それでも、余白で始めた仕事が自分の時間になって返ってきました。

りすけ先生

誰かに頼まれた仕事ではありません。急ぎでもありません。だから後回しにされ続けます。そこを自分の裁量で取りにいく形です。

「限界です」と言っていい|振る側は何をするか

「もう限界です」。この一言は、めったに出てきません。何も言わないまま止まっているほうが、ずっと多いです。私はそれがいちばん困ります。

そのとき私がやるのは2つです。どうすればできるようになるのかを確認する。そして優先順位を確認する。

仕事を取り上げはしません。「気合で乗り切れ」とも言いません。やるのは、条件と順番を一緒に並べ直すことです。

限界だと言われたら、この2つを確認する
  • 条件:どうすればできるようになるのかを確認する
  • 順番:優先順位を確認する

順番は、抱えている本人だけでは決めきれません。手元が詰まっているときほど、全部が同じ大きさに見えます。だから一緒に並べ直します。

ここが決まると、量は同じでも動けることがあります。逆に、黙って止まっているといちばん分かりません。振る側からは、手元の詰まりが見えないからです。

だから、言っていいです。黙って止まっているより、言ってもらったほうが、振る側は動けます。

評価は遅れるし、間違う

最後に、評価する側の非を書きます。

さっきの部下の力は、最初からありました。環境が変わるまで、評価だけが追いついていません。見ていたのは私です。評価は遅れます。間違うこともあります。

私自身も、30才前の2年間を当時は「経験の早回し」だと思えていませんでした。いましんどいと感じている人の感覚は、間違っていません。しんどい時期は、しんどいままです。意味があとからつくだけです。

あおい

言ったら負けだと思ってました。順番を一緒に見てもらえるなら、言えます。

仕事が早い人と仕事量のよくある質問

Q
よくある
質問
疑問をスッキリ解決
りすけ先生
りすけ先生
FAQ
▲ あききの最速ブログ
仕事が早い人の性格の特徴は?

私は性格では見ていません。共通していたのは行動のほうです。工程表が書けて、工期を当てられること。仕事の入口で返事が早いこと。予定に余白を残していること。この3つはよく重なります。明るいとか几帳面といった性格については、私には判断がつきません。振る側として見ていたのも、性格ではなく行動でした。

なぜ、仕事が早い人っているのでしょうか?

時間が読めるからです。工期を当てられる人は、遅れそうな箇所に先回りできます。読めない人の現場では、当日に「材料が足りない」、前日に「まだ注文していない」が出ます。ここで止まる時間が、そのまま差になります。手を動かす速さの話ではありません。段取りで先に差がついています。

仕事が早い人は優秀ですか?

振る側からは優秀に見えます。難しい案件が出たとき、先に顔が浮かぶのはこの人たちだからです。ただし社内の評価がそこに追いつくとは限りません。私が見ていた人は、いちばん量を持っていた時期に評価が低いままでした。環境が変わってから評価が爆上がりしています。評価は遅れます。優秀かどうかと、評価されているかどうかは別に動きます。

仕事が早い人が「やらないこと」は?

空いた時間を埋めないことです。私は空き時間を、割り込みを受け止める余白として空けています。埋めてしまうと、急な依頼が1件入るたびに全部が後ろへずれます。余白で何をするかは自分で決めます。1か月先、1年先の自分の時間が短くなる仕事だけを選んでいます。人に決められた時点で、それは余白ではありません。

まとめ|今日からできること

仕事が早い人に仕事が集まるのは本当です。理由は罰ではありません。落とせない案件を、成功する可能性が高い人に持っていってほしいからです。

それでも、量が増えている時期はしんどい。そこはごまかしません。評価が追いつくのは後になりますし、追いつかないまま見過ごされることもあります。私自身がそれをやりました。

SUMMARY
📌 覚えて帰る4つ
🎯
基準は「安心」
空いているかではない
段取り=時間が読める
工程表が書けること
🕊
空き時間は埋めない
受け止めるための余白
🗣
限界は言っていい
条件と順番を並べ直す

この記事で書いたことを、5行にまとめます。

  • 振る基準は「手が空いているか」ではなく「任せて安心か」
  • だから前の仕事が終わっていなくても、担当を組み替えてでも回る
  • 分担が6対4から9対1になった人は、そのあと評価が爆上がりした
  • ただし評価は遅れる。私は見抜くのが遅すぎた
  • 限界だと感じたら言っていい。条件と順番を一緒に並べ直せる
今日からできること

今日やることは1つで足ります。今日届いた依頼の入口に、その日のうちに1手だけ返してください。「確認して連絡します」で十分です。相手の段取りが止まらず、止まった時間があとから自分に返ってきません。

ゆうき

減らす方法は分かりませんでした。でも、意味は分かりました。

りすけ先生

それで十分です。そして、きつくなったら黙らずに言ってください。順番からなら、一緒に直せます。

今日のあきき
この記事を書きながら、あの分担表を思い出していました。6対4、7対3、8対2、9対1。数字だけ見れば、ただの偏りです。

あのとき私が先に評価を動かしていれば、本人はもっと早く報われていました。振る側の目は、思っているほど当たりません。

本文の事例は、私が管理職として関わった範囲の経験です。人物が特定されないよう、現場の数や時期はぼかしています。マクロによる効率化の削減時間は計測していないため、具体的な数値は記載していません。

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