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あおい部下のミスを、いつも別の人から聞かされます。本人からは何も言ってこないんです。




「報連相しろ」って何回言っても、変わらないんだよな。




電気工事30年・管理職5年の私の答えは、こうです。変えるなら、部下より先に、ミスや報告を受けた直後の上司の一言です。
部下から報告が来ない。困るのは、いつも手遅れに近くなってから知ることです。
- 部下のミスを、本人ではなく別の人から聞かされる
- 「なんで言わなかった」と聞くと、黙ってしまう
- 「報連相を徹底しろ」と言っても、翌週には元に戻る
言い聞かせる回数を増やすだけでは、同じ場面がくり返されがちです。この記事で見直すのは、部下の性格ではありません。報告やミスが出た瞬間に、上司が何を返しているかです。
私は電気工事の現場に30年います。そのうち管理職が5年です。この記事の芯は、私が現場で使っている一言です。「今こうなってる。原因はあとで一緒に見よう」。
読み終わるころには、次に部下からミスの報告を受けたとき、最初に何を言うかが決まります。
先に、この記事で扱わないことを書きます。部下の性格の診断や、病気かどうかの話はしません。上司の側で変えられることではないからです。扱うのは、上司の側で今日から変えられることだけです。
報告のその場で、原因まで問い詰めないこと。事実を先に受け取り、原因はあとで一緒に見る。報告が責められる時間にならなければ、次の報告も出しやすくなります。
- 部下が報連相をしにくくなる、上司の側のきっかけ
- 「原因はあとで一緒に見よう」が効く理由と、Googleの調査
- 報連相を受ける上司の返し方4つ
報連相ができない部下は、なぜ言ってこないのか
言ってこない理由は、部下の側にもいろいろあります。この記事では、そのうち上司の側から減らせるものだけを書きます。
報告した直後に、責める言葉が来る
ミスの報告を受けた瞬間、口から出やすいのは「なんでこうなったの?」です。聞く側に悪気はありません。原因が分からないと、次の手が打てないからです。
ただ、報告した側からは景色が違って見えます。
報告する
↓
その場で、原因を責められる
↓
次から、言う前に迷う
報告の遅れは、部下のやる気だけの問題とは限りません。報告した直後に何が起きたかを、部下は覚えています。
小さな報告ほど、受け止め方が見られている
私はある現場で、ヒヤリハット報告を軽視したことがあります。「こんな小さなこと、わざわざ書かなくてもいいだろう」と思ったんです。
ヒヤリハットは、事故にはならなかったけれど、ひやりとした出来事のことです。書く側にとっては、手間をかけて出す報告。
その報告を上司が軽く扱えば、書いた人には「出しても意味がなかった」と映ります。小さな報告を流すと、次の報告を出す理由を、上司が自分で減らすことになります。




でも、報告するのは部下の仕事ですよね。上司が気をつかう話なんですか?
報告するのは部下の仕事です。そこは変わりません。
ただ、報告が来なくて困るのは上司のほうです。先に手を打てるのも、上司のほうです。「病気なのでは」「性格だから」と決めつける前に、受け取る側でできることがあります。
「言ってこない」ではなく「言っているのに伝わらない」なら、こちらの記事のほうが近い答えです。
「原因はあとで一緒に見よう」が効く理由
効くのは、事実と原因を分けて扱うからです。報告のその場で原因まで片づけようとしないので、報告が、責められる時間になりにくくなります。
ミスの直後は、事実だけを先に共有する
ミスが起きたとき、私は、まず5分以内に事実だけを短く共有するようにしています。「今こうなってる。原因はあとで一緒に見よう」。
ポイントは、原因を聞かないことではありません。原因は「あとで」「一緒に」見る、と先に言ってしまうことです。
「あとで」があるので、その場で言いわけを組み立てなくて済みます。「一緒に」があるので、1人で責任を背負わされる話になりにくくなります。




原因をあとに回したら、甘やかしにならない?
原因を見ないわけではありません。見る順番を後ろにするだけです。
ミスの直後に先に要るのは、今どうなっているかです。原因の話は、手を打ってからでもできます。
心理的安全性を学んで、この一言を選んだ
最近、心理的安全性が生産性を高めると習いました。本も読んで勉強しました。
そのうえで、この記事でいちばん伝えたいことを1つ選ぶなら、この一言です。これがあってこそ前に進んでいける、と感じています。
この言葉には出どころがあります。Googleの紹介では、チームの心理的安全性を最初に示したのは、ハーバード大学のエイミー・エドモンドソン氏です。
Googleは、2016年に公表した社内調査で180のチームを調べました。エンジニアのプロジェクトチームが115、営業チームが65。効果的なチームに見られる5つの要素を重要な順に並べ、その1番目に挙げたのが心理的安全性です。
Googleの説明を訳すと、こういう状態です。ミスを認めても、質問しても、新しい案を出しても、チームの誰からも恥をかかされたり罰せられたりしない。そう確信できていることです(筆者訳)。
If I make a mistake on our team, it is not held against me.
Google re:Work「Understand team effectiveness」
Googleがチーム向けに作ったアンケートで、心理的安全性をたずねる質問の1つです。訳すと「このチームでは、ミスをしても、それを理由に責められることはない」。「原因はあとで一緒に見よう」は、部下がこの質問に「はい」と答えられる状態を、一言で作りにいく言い方です。
私が読んだ本は、『心理的安全性のつくりかた』(石井遼介 著・日本能率協会マネジメントセンター)です。中身の紹介はここではしません。気になった方は、書名で探してみてください。
報連相を受ける上司の返し方4つ
やることは4つです。どれも、報告を受ける側の動きです。部下に新しいことを覚えさせる話ではありません。
- 事実を先に、原因はあとで
- 否定より先に、確認する
- 自分のミスを先に言う
- 報告は自分を守る行動だと伝えておく
①事実を先に、原因はあとで
ひとつ前の見出しで書いた順番です。報告のその場では、今どうなっているかだけを受け取ります。原因を見るのは、手を打ったあと。ただし、漏電やけがの危険があるときのように、原因が分からないと次の手を決められない場面では、その場で必要なことだけ確認します。
②否定より先に、確認する
指示どおりに動かなかった部下にも、私はまず、なぜそうしたのかを確認します。否定せずに確認してから、方向性を話し合います。
報告を受けるときも同じです。内容が気に入らなくても、最初の一言で否定しない。否定が先に来る場では、言いにくい中身ほど後回しにされやすくなります。
③自分のミスを先に言う
私も長く、弱みを見せてはいけないと思っていました。でも、自分のミスを先に「これ、俺が段取り間違えた」と言うようになってから、現場の空気がゆるみました。
上司がミスを口にする職場では、ミスの報告が特別なことではなくなります。Googleのページでは、エドモンドソン氏が挙げた「個人ができること」も紹介されています。その1つが「自分も間違えることを認める」です。
④報告は自分を守る行動だと伝えておく
私は部下にいつもこう伝えています。「ヒヤリを伝えることは、自分を守る最強の行動だ」と。
報告を「上司のための作業」だと思っていると、後回しにされがちです。自分の身を守るためだと分かっていれば、出す理由が本人の側にできます。




4つとも、部下を変える話ではありません。変えるのは、受け取る側の最初の一言です。
報告が要るのは、次に人を動かすため
部下に報連相の意味を伝えるなら、精神論より段取りの話のほうが通じます。
報告がないと、次に誰を動かすか決められない
現場で急な仕事が2つ重なったとき、私は、次にどのような人を動かす必要があるかを判断して、優先順位を決めていました。
この判断は、今どうなっているかが分からないとできません。報告が来ないと、次に動くはずの人まで止まります。
だから部下には「報告は、次に動く人のためにある」と言えます。叱るより、ずっと具体的です。
「聞きに行くタイミングがわかりませんでした」
若手が段取りを間違え、工程がずれたことがあります。「なんで相談しなかった?」と怒った私に、彼はこう言いました。
「聞きに行くタイミングがわかりませんでした」
言わなかったのは、怠けていたからとは限りません。いつ言えばいいかが見えていないと、報告や相談は出てきにくくなります。聞く側が怒れば、その次はなおさらです。
離れる前に、報告を受ける要所を決めておく
予定の作業の途中で、急な連絡が入って現場を離れることがあります。そのとき私がやるのは、引き継ぎです。その仕事が終わるように違う人に引き継ぎ、段取りを確認しながら、要所で報告を受けられるようにしておきます。
報告を待つのではなく、報告が来る場所を先に決めておく。「ちゃんと言え」と言うより、どこで報告をもらうかを一緒に決めるほうが具体的です。




言ってこない人ほど、何を考えているか分からないんですよね。
毎朝、全員の顔をひとまわり見る
私は毎朝のKY活動(危険予知)で、その日の全員の顔をひとまわり見ます。声のトーン、目線、返事の速さ。
報告を待っているだけでは、言い出せない人の変化は拾えません。こちらから気づきに行く方法です。
報連相ができない部下のよくある質問
- 報連相ができない人の特徴は?
-
この記事では、性格の特徴は挙げていません。特徴で分けると、上司の側で打てる手が見えにくくなるからです。かわりに、部下が直近で報告してきたとき、上司が最初に何を返したかを思い出してみてください。報告のあとに起きたことのほうが、変えられる場所がはっきりしています。
- 報連相とは上司と部下の関係ですか?
-
部下から上司への一方通行ではありません。ミスが起きたとき、私は上司の側から、まず事実だけを短く共有しています。上司が先に共有して見せる。すると報連相は、部下の義務ではなく、チームで情報を回すこととして伝わりやすくなります。
- 報連相ができない人は上司とうまくコミュニケーションが取れていない?
-
その可能性はあります。ただ、雑談の量を増やす前に、報告を受けた直後の返し方を見直すほうが先です。ふだんの会話が多くても、報告のたびに責められる関係なら、悪い知らせは上がりにくいままです。
- 報連相ができない人はどうしたら良いですか?
-
報告する側の人なら、事実だけを先に言う形がそのまま使えます。「今こうなっています」までで一度区切り、原因の整理は、そのあとです。私は部下に、よくこう伝えます。「一度に全部説明しなくていい」。
まとめ|報告を受けた直後の一言を変える
「報告しろ」と何度も言う前に、報告やミスを受けた直後の一言を見直してください。事実を先に受け取り、原因はあとで一緒に見る。順番を変えるだけなので、今日から始められます。
- 報告のその場で、原因まで片づけようとしない
- 「今こうなってる。原因はあとで一緒に見よう」で事実と原因を分ける
- Googleの調査は、心理的安全性を5つの要素の1番目に挙げている
- 報告は、次に動く人のためにある
次に部下からミスの報告が来たら、原因を聞く前に「原因はあとで一緒に見よう」と先に言ってください。そのうえで、今どうなっているかだけを聞きます。原因の話は、手を打ったあとに時間を取ります。




言わせる回数じゃなくて、受け取ったあとの一言だったのか。




はい。原因の話は、手を打ってからでもできます。まずは次の1回で、順番だけ入れ替えてみてください。









本文の事例は、私が現場と管理職として関わった範囲の経験です。Googleの調査の説明は、Google re:Workの公開ページ(英語)を筆者が訳したものです。部下の性格や健康状態の判断については扱っていません。


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